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有機溶剤中毒予防規則(有機則)を知らないプリンターユーザーが多いのは?

有機溶剤中毒予防規則(有則機)を知らないプリンターユーザーが多いのは?

印刷会社が新たなビジネスとしてUVプリンター(厚物プリント)を導入する事が多かったのですが、近年では、インターネット販売会社(IT会社)が新たなインターネットビジネスとしてUVプリンタを導入するケースが増えています。

印刷会社であれば、設備に空調換気や専用ダクトを設け健康被害の無い設備を行っている会社が多いことだと思いますが、中には、2012年5月に報道で印刷会社の胆管癌(たんかんがん)集団発症の問題が大きく取り上げられた印刷会社があったように、十分な作業環境が整っていない現場もあることでしょう。

 

そこで、有則機ってなに・・・?
と聞かれることがあるので参考までに。

 

大手のプリンターメーカーの営業マン(全社員)は、半年に1回健康診断にいっていると思います。

これは、労働安全衛生法で定められたことだからです。
簡単に言えば、有機溶剤を少しでも使っていれば、半年に1回は健康診断を受けてくださいと言われています。

 

また、有機溶剤の使用種類により、検診内容も変わってくるので、不明な時はメーカー様にご確認ください。最近は、ECOインク(有則機非該当品)も多く出ています。

 

適用除外、消費する有機溶剤等の量が少量で、許容消費量を超えないときは、所轄労働基準監督署長の適用除外認定を受けることができます。

この認定を受けていない場合には、たとえ消費量が少量であっても、作業環境測定や健康診断等の実施が必要です。

 

受診しなくても罰則があるとかではないのですが、例えば健康被害があったとして、社員さんから訴えられたりしたら大変なことになります!

 

そんなことが無いように、早めの対策が必要です。

 

有機溶剤とは、他の物質を溶かす性質を持つ有機化合物の総称で、塗装・洗浄・印刷などの作業に幅広く使用されています。

有機溶剤は常温では液体ですが、一般に揮発性が高いため、蒸気となって呼吸を通じて体内に吸収されやすく(経気吸収)、また、油脂に溶ける性質があることから皮膚からも吸収されます(経皮吸収)。

有機則の対象となる有機溶剤は44種類あります。

一般的な産業用インクジェットプリンターのインク・脱脂剤・プライマー等も有機則対象の有機溶剤になります。

有機則で求められること

有機則の対象になると下記の事が求められます。

・従業員への周知
有機溶剤等に含まれる化学物質の危険有害性、および有機溶剤等に係る事故発生時の措置について、作業者に周知徹底するとともに、必要な対策を講じる。

・局所排気装置の設置など
使用する有機溶剤に合った換気装置を設置する必要があります。

・有機溶剤作業主任者の選任
屋内の作業場で有機溶剤を使った仕事をする際は原則、作業の主任者を選任しなくてはいけません。

・作業環境測定士による環境測定(年2回)
第1種有機溶剤および第2種有機溶剤に係る有機溶剤業務を行う屋内作業場では、作業環境測定士(国家資格)による作業環境測定とその評価、結果に応じた適切な改善を行うことが必要です。

・作業従事者対象の健康診断の実施(年2回)
6ヵ月以内ごとに1回、定期に、一定の項目について健康診断を実施 する。

・保管と廃棄
保管する際は、漏れたりこぼれたりしないような、栓がしっかりできる丈夫な容器に入れ、更に施錠できる、風通しの良い所で保管します。

・掲示
一定の事項を作業中でも容易にわかるよう見やすい場所に掲示する。

さいごに

これらの義務は毒性が高いとされる有機溶剤を少しでも安全に使うためのものです。
有機則に該当しない程の少量であっても、有機則に該当しない溶剤であっても、しっかりとした保管、しっかりとした換気をするに越したことはありませんので覚えておくと便利です。

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